教科書改訂についての第二弾です。
前回は、①ボリューム、②アクティブラーニングについて触れていきました。
それでは早速③シームレスです。
新教科書の方針は、シームレス化(継ぎ目・境界をなくす)です。
数学や理科の教科書には「これまでのふりかえり」や「次の学年への接続」が書かれます。
これは学年のシームレス化です。
また、理科の教科書に「計算の方法」「地形図の読み方」などが書かれます。
これは、教科・分野のシームレス化です。
さらに、アクティブラーニングによるディスカッション、発表などの強化は、
学ぶ立場と教える立場のシームレス化と言えます。
神奈川県の公立高校入試でも、
英語の試験で計算を必要とする問題が出題されるなど
教科横断型(教科のシームレス化)の問題が見られます。
特に上位校による特色検査(以前の独自問題入試)では、
教科横断型のハイレベルな問題が出題されます。
5教科の知識があることが前提で、
その知識をいかに応用できるか。
まさに情報処理能力が問われるわけです。
たくさんある情報をいかに効率よく処理していくか。
これが、今後の学習に大きく影響してくるのは間違いありません。
情報処理能力が備わっている子、備わっていない子を見分けるたった1つの方法があります。
それは「鉛筆を手にして問題を読んでいるか」です。
塾での光景です。
「では、この問題を解いてみましょう。」と言うと、


「ここ、わからなかったね。説明するからね。」と言うと、


ご自身のお子様の勉強の様子を遠くから見てあげてください。
もし、まだ情報処理能力が不足しているようでしたら声をかけてあげてください。
「鉛筆を持って、大事なところに線を引くんだよ。」
「図や表をかいてごらん。」
それから、もう一つ見てあげてください。
(両手があることを前提にして述べます。)
ものを書くときに、鉛筆を持っていないほうの手はどこにあるでしょうか。
紙やノートにもう片方の手が添えられていますか?
ひざの上やももの下にありませんか?
鉛筆の持ち方も含めて、やはり勉強には適した姿勢というものがあると思います。
その姿勢によって、ミスをなくしたり、図や表を的確にかけたりするものです。
ケアレスミスをしてしまう子には、勉強に対する姿勢が不足している子が多いです。
鉛筆の持ち方、姿勢、字の書き方などを見ればある程度わかります。
パレットでは、そのような姿勢に関することもしっかり指導していきます。
これは私がパレットを開校しようと決めたときに、同時に決めた方針です。
それでは最後、④大学入試改革です。
2020年度(現在の中学1年生が大学入試の年)から、新しい大学入試になります。
中教審答申では、「新しい時代にふさわしい高大接続改革」を掲げ、
高校教育、大学教育を通じて「生きる力」を育むと明示しています。
生きる力を構成するのはこの3つ。
「豊かな人間性」 「健康・体力」 「確かな学力」
この「確かな学力」を育むにあたって必要不可欠なのが大学入試改革なのです。
新大学入試は、大きく3段階で構成されています。
1)高校2・3年生のときに複数回実施される
「高等学校基礎学力テスト(仮称)」
で基礎学力を測定
2)現在のセンター試験に代わり年複数回実施される
「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」
で思考力・判断力・表現力を評価
3)大学ごとに個別入試が行われ、
「面接や論文などの方法」
で主体性・多様性・協働性を評価
テストの名称はまだ決まっていませんが、おおよその流れはこのようなものです。
高等学校基礎学力テスト(仮称)は教科型、
大学入学希望者学力評価テスト(仮称)は教科型に加え教科横断型
になります。
解答も記号ではなく、論述式のものが多く出題されるようになります。
教科書改訂は新大学入試に向けて、ということになります。
本来は、教科書で学習したことの理解度を測定するのがテストだと思うのですが、
どうも逆のようです。
大学ごとの個別入試は「一般入試・推薦入試・AO入試の区分を廃止」
と中教審答申が明記しています。
これが何を意味するか・・・
おそらく、「大学入試=AO入試」ではないかと思います。
AO入試というのは、アドミッション・オフィス入試といって、
わかりやすく表現すると「自己推薦入試」です。
具体的には、面接や小論文、論文、プレゼンテーションで
志望動機や学部・学科に対する適性、入学後の意欲などを表現し、
総合的な人物評価で選抜するというものです。
3段階で評価し且つ人物重視となると、選抜に時間を要することになります。
現在の大学入試は、試験から合格発表までの期間は1~2週間がほとんどです。
大きく変化する大学入試。
これが、子どもたちにとって良い影響を与えるものになることを願います。
私は、入試制度というものがそもそもあまり良いと思っていません。
このような考えを持った子どもに入学してほしいという、
入試問題からうかがえる学校側の思いはもちろん理解できます。
しかし私は、学びたい場所がその子にあるなら、
自由に学ばせる環境を作れば良い、
卒業試験を充実させれば良い、
と、塾で働くずっと前から思っています。
学びたいという子どもを歓迎し、そこで学び、卒業するときにしっかりとした力をつけて
卒業できるよう、入学してからも向上心を持って学べる環境を作るべきではないかと
思っています。
十分な志望動機があるのに、たった1度の試験に力を発揮できず入学できない
という子どもたちも見てきました。
不本意だと思います。しかし、これが現実です。
入試というのは大きなハードルです。
しかしそれを乗り越えたとき、子どもは一回りも二回りも大きく成長します。
そして、最高の笑顔を見せてくれます。達成感に満ちあふれています。
志のある子どもたちが、みな希望の環境で学ぶ機会を得られるよう
私はこれからも子どもたちをサポートしていこうと思います。
前回も述べましたが、大事なのでもう一度述べます。
学習の大きなポイントは、情報処理能力です。
まだまだ不明瞭なことが多い新大学入試。
新たな情報に常にアンテナを張り巡らせたいと思います。
そして随時発信していきたいと思います。
※今回の教科書改訂については、教育開発出版株式会社の資料を参考にいたしました。